- 会社概要
- 主要事業
- 売上高の成長
- 粗利益率の推移
- 販管費率と営業利益率
- 純利益率とEPSの成長
- 1. 利益剰余金とフリーCFの推移
- 2. 発行済株式総数の減少
- 3. 配当利回りと配当性向
- 今後のEPSの成長予測
- 競争優位性
- 脆弱性
会社概要
Ulta Beauty (ULTA) は、米国を拠点とする大手美容製品小売企業で、幅広い化粧品、スキンケア製品、ヘアケア用品、フレグランス、および美容ツールを提供しています。同社は、米国内に 1,300 店舗以上を展開し、オンラインプラットフォームを通じても顧客にサービスを提供しています。Ulta Beauty は、その幅広い製品ラインと多様な価格帯で、さまざまな消費者ニーズに対応しており、幅広い顧客層をターゲットにしています。
主要事業
Ulta Beauty の主要事業は、小売業、特に化粧品およびパーソナルケア製品の販売です。主に以下の 3 つのカテゴリに分かれます。
- 化粧品: Ulta Beauty は、ドラッグストアブランドからラグジュアリーブランドまで、広範な化粧品ラインを取り扱っています。メイクアップ、スキンケア、ネイル製品など、顧客のニーズに応じた多種多様な商品を提供しています。
- サロン・サービス: Ulta Beauty の店舗内にはサロンが併設されており、ヘアカット、カラーリング、スパサービスなど、専門的な美容サービスを提供しています。このサービスは、製品販売と連携し、顧客の全体的な美容体験を向上させる役割を果たしています。
- オンラインプラットフォーム: Ulta Beauty は、E コマースを通じて広範なオンライン販売も行っており、顧客はオンラインで製品を購入し、自宅で受け取ることができます。また、オンライン限定の商品やプロモーションも実施しており、デジタルエンゲージメントを強化しています。
株価指標

ULTAが高い自己資本比率と健全な財務状態を維持していることを示しており、投資家にとって魅力的な成長企業であることを示唆しています。また、株価収益率(PER)が14.3倍であることから、現在の株価は比較的適正な水準にある可能性があります。配当がないことは、成長への再投資を重視している可能性があります。
株価チャート

Ulta Beauty (ULTA) と S&P 500 (SPX) の株価の長期的な推移を比較したチャートです。
Ulta Beautyの株価は急速に成長し、特に2013年以降の上昇が顕著です。全体として、株価は1000%以上のリターンを記録しており、非常に強い上昇トレンドを維持しています。S&P 500 (SPX) に対しても、Ulta Beautyは圧倒的なパフォーマンスを示しており、S&P 500が約258%の上昇にとどまっているのに対し、Ulta Beautyはそれを遥かに上回る成長を遂げています。
業績推移

売上高の成長
- 2008年の$912Mから2024年の$11,207Mまで、売上高は一貫して増加しています。
粗利益率の推移
- 粗利益率は、30%から40%の範囲で推移しています。2011年以降、粗利益率は徐々に改善しており、企業の価格設定戦略やコスト管理が上手くいっている可能性を示しています。
販管費率と営業利益率
- 販管費率は、80%近くで高いコストとなっていますが、徐々に低下し、近年では60%前後で安定しています。この改善は、コスト管理の向上や規模の経済による効率化の成果を反映しています。
- 営業利益率も同様に、過去の5%から15%-16%まで改善しており、営業活動の効率性が高まっていることがわかります。
純利益率とEPSの成長
- 純利益率も、2.3%(2009年)から11.5%(2024年)まで大幅に改善しています。特に、2020年以降の純利益率の改善は、パンデミック後の需要回復やコスト削減の成果を反映しています。
- EPSも、2009年の$0.43から2024年の$26.03まで大幅に成長しています。

1. 利益剰余金とフリーCFの推移
- 利益剰余金は、2013年の$462Mから2023年の$1,287Mへと増加しています。これは、企業が利益を持続的に再投資していることを示しており、資本を蓄積していることを反映しています。
- **フリーキャッシュフロー(フリーCF)**も、2013年の$102Mから2022年には$1,170Mに増加しています。フリーCFの増加は、企業のキャッシュ生成能力が向上していることを示しています。特に、2022年のフリーCFは過去最高を記録しており、強力なキャッシュフローが企業の持続的成長を支えています。
2. 発行済株式総数の減少
- 発行済株式総数は、2013年の約64.3百万株から2023年の約48.3百万株まで減少しています。これは、Ulta Beautyが株式の買い戻しを積極的に行っていることを示しており、株主還元の一環として評価できます。株式買い戻しは、EPSの増加や株主価値の向上に寄与します。
3. 配当利回りと配当性向
- 表から、Ulta Beautyは配当を支払っていないことがわかります(配当利回りが0%)。

EPS成長からみる収益性

10年間の期待収益率を計算したものです。10年間の成長率は24%、5年間の成長率は16%と計算されています。
この計算は、過去のEPS成長率を基にした未来の株価と収益率を予測するものです。過去10年間の高いEPS成長率を基に、今後も同様の成長が続くと仮定しており、非常に高い期待収益率が見込まれています。
しかし、注意すべき点として、以下の要因が考えられます:。
成長の持続性については個々に企業調査を行い判断する必要があります。 過去の高い成長率が今後も続くかどうかも不確実です。市場環境の変化、競合他社の動向、経済の影響などが成長に影響を与える可能性があります。
今後のEPSの成長予測
現在のROEが58.20%であり、これを維持できると仮定します。また、PERが14.3倍であることから、今後の株価もこのPERで計算します。
EPS成長予測
ROEが維持され、EPSが成長を続けると仮定した場合、EPSは以下のように計算されます。

現在のEPSが$26.75であるとすると、10年後のEPSは次のように計算されます。

予想株価
PERが14.3倍と仮定すると、10年後の株価は以下のように計算されます。

このように、ROEが非常に高い企業は、成長を続けられれば株主に対して非常に高いリターンを提供する可能性がありますが、その維持には多くの要因が関わるため、慎重な分析が求められます。
理論株価

マネックス証券より引用
PERおよびPBRに基づく理論株価と比較すると、現在の株価はほぼ適正価格に近い水準で取引されていることがわかります。現在の株価が理論株価とほぼ一致しているが投資判断を行う際には、追加の要因(例えば、今後の成長見通し、業界の動向、マクロ経済環境など)を考慮することが重要です。
EPS成長と株価の相関

Ulta Beautyの2013年~2023年のEPS、株価、売上高、発行済株式数をグラフで示しました。
競争優位性
- 幅広い製品ラインとワンストップショッピング:
- Ulta Beautyは、化粧品、スキンケア、ヘアケア、香水などの製品を幅広く取り揃えており、顧客が一か所で全ての美容関連商品を購入できる「ワンストップショッピング」を提供しています。この戦略は、特に忙しい顧客層にとって魅力的であり、競合他社との差別化要因となっています。
- ロイヤルティプログラムの強さ:
- Ulta Beautyの「Ultamate Rewards」プログラムは、非常に強力な顧客ロイヤルティを生み出しています。このプログラムは、購入ごとにポイントが貯まり、特典が受けられるため、顧客が繰り返し購入する動機となり、長期的な収益の安定性を高めています。
- オンラインとオフラインの統合:
- Ulta Beautyは、オンラインストアと物理店舗を効果的に統合しており、顧客はオンラインで購入し店舗で受け取ることができるサービス(BOPIS: Buy Online, Pick Up In Store)を提供しています。これにより、顧客の利便性が向上し、販売機会が増加しています。
- 美容サービスの提供:
- Ulta Beautyは、ヘアカットやカラーリング、スパサービスなどの美容サービスも提供しており、これにより顧客との接点を増やし、再来店の動機を提供しています。このサービスは、製品の販売と相乗効果を発揮し、収益の多角化にも寄与しています。
脆弱性
- 競争の激化:
- 美容業界は非常に競争が激しく、Sephoraなどの強力な競合他社が存在します。特に、ラグジュアリーブランドや新興のデジタルネイティブブランドとの競争は厳しく、これらの企業がUltaの市場シェアを奪う可能性があります。
- 依存度の高いブランドポートフォリオ:
- Ulta Beautyは、多くの外部ブランドに依存しています。もしこれらのブランドが競合他社に流れる、または直接販売を強化する場合、Ultaの売上に悪影響を与える可能性があります。また、ブランド間での競争も激化しており、特定ブランドの販売低迷が全体の業績に響くリスクもあります。
- 経済の影響:
- 美容製品は、景気後退期において消費者がまずカットする支出の一つとなる可能性があります。特に、高価格帯の商品は、経済の低迷期において売上が低迷するリスクがあります。Ultaは広範な価格帯を扱っていますが、プレミアム製品への依存が高まると、景気の変動による影響を受けやすくなります。
- デジタル化の遅れのリスク:
- オンラインショッピングの拡大に伴い、Ultaはデジタルプラットフォームの強化を進めていますが、競合他社と比較してデジタル化が遅れると、顧客をオンライン特化型の競合に奪われるリスクがあります。特に、若年層を中心としたオンライン消費の増加に対応できなければ、成長が鈍化する可能性があります。
結論
米バークシャー・ハザウェイは14日、2024年6月末時点の保有銘柄リストを開示した段階で4〜6月期に米化粧品小売りのアルタ・ビューティー株を取得しておりますが、あくまでも過去のデータをではありますが、成長している企業ではあるかと思います。またバークシャー・ハザウェイのポートフォリオには、金融、エネルギー、消費財などの銘柄が多く含まれています。Ulta Beautyへの投資は、消費者の非必需品セクター、特に美容市場への新たな進出を示しており、ポートフォリオの多様化を図る戦略の一環と考えられます。現代の消費者トレンドである「ウェルネス」や「自己ケア」への関心が高まる中で、Ulta Beautyのような企業はその恩恵を受けやすいです。バークシャー・ハザウェイは、このようなトレンドを取り込み、将来の成長を確保するためにUlta Beautyを選んだと考えられます。
ここまでご覧頂きありがとうございました。
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