企業概要
Toll Brothers(トール・ブラザーズ)は、米国を代表する高級住宅建設会社であり、1967年に設立、1986年にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しました。本社はペンシルベニア州に位置し、アメリカ国内の富裕層向けに一戸建て住宅やタウンハウス、都市型高級マンションを展開しています。
同社は特に、カスタマイズ性の高いデザイン性と施工品質で知られており、標準仕様だけでなく顧客のニーズに応じた自由設計が可能な点が最大の強みです。また、住宅購入者に対して、敷地選びからデザイン、内装、設備までをトータルで提供する“ラグジュアリー住宅のプロデューサー”的なポジションを築いています。
さらに、Toll Brothersは「Toll Brothers Apartment Living」などのブランドを通じて、都市部での高級賃貸物件の開発や、ゴルフ場やシニア向け住宅の開発にも取り組むなど、事業の多角化も進めています。
主要事業
- 1. 高級戸建住宅・タウンハウスの建設販売(主力事業)
全米の富裕層をターゲットに、カスタマイズ可能な注文住宅を提供。都市郊外の好立地に高品質な住宅を開発し、デザイン性や快適性を重視しています。
- 2. 都市型集合住宅(Toll Brothers City Living)
ニューヨークやワシントンD.C.など主要都市で、高層マンションやラグジュアリーコンドミニアムを開発。国内外の富裕層投資家に人気です。
- 3. 高級賃貸住宅の開発・運営(Toll Brothers Apartment Living)
高級アパートメントの開発・管理を通じて、安定したストック型収益を確保。2024年時点で全米40件以上のプロジェクトを展開しています。
- 4. コミュニティ開発・土地活用事業
ゴルフ場付き住宅地や、アクティブシニア向け住宅(55歳以上)など、住宅だけでなくライフスタイル全体を提供する統合型開発も強みとしています。
- 5. 不動産金融サービス(モーゲージ・保険)
住宅ローンや保険などの金融サービスも自社で提供し、住宅購入を一気通貫でサポート。顧客満足度と収益性の両面で貢献しています。
株価指標

Toll Brothersの現在株価は103.5ドル、時価総額は102.9億ドルとやや調整していますが、依然として非常に割安な水準にあると評価できます。以下に主要指標を整理し、投資妙味を検討します。
- 主要指標と評価
指標 | 値 | 一般的な目安 | 評価コメント |
---|---|---|---|
ROE | 20.4% | 15%以上 | 企業の収益性が非常に高く、自己資本を有効に活用できている点で優秀。 |
PER(株価収益率) | 7.2倍 | 20倍以下が割安 | 利益に対して株価が抑えられており、明確に割安圏。 |
PBR(株価純資産倍率) | 1.3倍 | 3~4倍以下が目安 | 純資産価値に比して割安、資産面からも安心感あり。 |
PSR(株価売上高倍率) | 0.95倍 | 1~2倍以下が妥当 | 売上に対する株価の水準も割安で、収益の裏付けが強い。 |
自己資本比率 | 57.4% | 40%以上が健全水準 | 財務的にも安定しており、借入に依存しすぎていない。 |
配当利回り | 0.90% | 参考水準 | 高くはないが、成長企業としては妥当。内部留保を重視。 |
Toll Brothersは、高ROEと割安なPER・PBR・PSRを同時に兼ね備えた数少ない米国大型株の一つです。財務の健全性も高く、住宅業界において安定した利益成長を維持しています。
現在の株価水準は、市場全体の調整や金利高の影響も織り込まれていると考えられ、中長期的な視点で見れば依然として“買い場”に近い水準かもしれません。
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株価チャート

株価パフォーマンス:Toll Brothersは市場平均を下回るが上昇余地があります。チャートは、Toll Brothers(TOL)の株価推移とS&P500指数(SPX)との比較を示しています。
- TOL:+168.55%
- S&P500(SPX):+202.29%
直近の5年程度のパフォーマンスを見ると、TOLはS&P500に対してやや劣後している状況が確認できます。ただし、以下の点から、今後の巻き返しにも十分な余地があると考えられます。
- 1. 株価は調整局面に入りつつも下値は堅い、
2024年にかけて株価は一時300%以上の上昇を記録しましたが、その後は金利高や住宅市場の調整懸念から反落。しかし現在は再び底堅い動きを見せており、長期サポート水準での反発が期待されます。
- 2. 業績は堅調、バリュエーションは依然として割安であり、TOLは高ROE(20.4%)・低PER(7.2倍)と、指標面では依然割安。業績が安定しているにもかかわらず株価が伸び悩んでいる状況は、市場の過小評価とも取れます。
- 3. 今後の成長ドライバー
米国の住宅在庫不足
高所得層の住宅ニーズの継続
Toll Brothers Apartment Livingなどの賃貸事業拡大
これらは中長期的な株価の支えとなる可能性が高く、
現在の水準は再エントリーや買い増しのチャンス
となる可能性があります。
業績推移

2008年のリーマンショック以降、業績が一時大きく落ち込みましたが、その後は見事なV字回復を果たし、現在では過去最高の売上・利益水準に到達しています。
- 2009年はリーマンショック直後の厳しい局面でした。
売上高は17.5億ドルまで縮小し、粗利益率は-11%と赤字転落。
営業利益・純利益ともにマイナスとなり、EPSは-4.68ドル**と大きく落ち込みました。
- 2012年以降は回復基調と利益体質の改善をしております。
2012年から黒字に転換し、粗利益率・営業利益率ともに着実に改善。
2015年にはEPSが2ドルを超え、営業利益率も11%前後で安定しています。
- 2020年代は高水準の利益率と成長加速
2021年以降、住宅需要の高まりを背景に売上・利益ともに過去最高を更新しており、 - 2024年の実績では…
- 売上高:108億ドル
- 営業利益:20.4億ドル(営業利益率19%)
- EPS:15.01ドル
- 粗利益率は28%、販管費率は33%と効率的な経営が際立ちます。

配当政策と資金の使い方
Toll Brothersは、これまで配当を控えめにしつつ、着実に利益を積み上げてきた企業です。
- 利益剰余金は2014年の32億ドルから、2024年には81億ドル超まで増加。
- フリーキャッシュフロー(自由に使える現金)も、近年は安定して黒字。2024年は11.9億ドルと過去最高を記録。
一方、配当利回りは0.7%前後と低く、配当性向も4%程度。これは、利益を配当に回すよりも、成長投資や自社株買いを優先していることを意味します。
実際、発行済株式数は10年間で約43%も減少しており、自社株買いを行いEPSの成長や株主価値向上に貢献しています。
EPS成長率から見る収益性

Toll Brothersの過去10年間のEPS(1株あたり利益)は、年平均23%という高い成長率で推移しています。直近5年間に限ると、さらに加速し**年率34%**の急成長を実現しています。
ただし、過去の成長率での計算のためかなり楽観的な感じがしますので前提条件の見直しは必要かもしれません。
しかし、この成長ペースが続くと仮定した場合、現在のEPS(15.71ドル)は10年後には127.22ドルに達する見込みです。
PER(株価収益倍率)を11.33倍と想定すると、10年後の理論株価は約1,442ドルとなり、年率ベースの期待リターンは**約30%(CAGR 29.94%)**に相当します。
- 注意点
EPS成長率23%が10年続くのはやや楽観的ではある。
建設業界は景気の波を受けやすく、調整局面もありえます。
10年後にPERが11.33倍で評価される保証はないため
金利環境やマクロ経済によってはPERが圧縮される可能性もありえます。
理論株価

引用:マネックス証券より

上記がマネックス証券のデータより計算した理論株価になります。
- 1.簡易理論株価(市場平均PERベース)
- 算出式:BPS +(EPS × 市場平均PER)
- 理論株価:312.49 USD(PER15倍を使用)
- 現在株価(103.5 USD)との乖離:+202%(約3倍)
➡ 市場全体と同等の評価を受けた場合、現在株価の約3倍の価値があると試算されます。
- 2. グレアム式理論株価(成長性考慮)
- 算出式:EPS ×(業種平均PER + 2 × EPS成長率)
- 理論株価:180.12 USD(PER11倍相当)
- 現在株価との乖離:+74%
➡ より保守的な成長見通しを織り込んでも、現在株価からの上昇余地は7割超あります。
Toll Brothersの競争優位性
- 1. 高級住宅市場に特化したブランド力
- 富裕層向け住宅に特化し、「品質」「デザイン性」「自由なカスタマイズ」を重視。
- 顧客単価が高く、利益率が高いビジネスモデルを確立。
- 2. 顧客満足度の高いオーダーメイド性
- 間取り・内装・設備などを自由に設計できるカスタマイズ住宅を提供。
- 顧客の個別ニーズに応えることでリピーターや紹介による集客力も強い。
- 3. 強固な土地取得戦略と都市展開
- プライムロケーションでの土地開発に強み。
- ニューヨーク、ロサンゼルス、マイアミなど人気エリアに多数のプロジェクトを展開。
- 4. 安定的なフリーキャッシュフローと自社株買い
- 成長期においてもフリーキャッシュフローを確保し、自社株買いでEPSを向上。
- 財務健全性を維持しながら株主価値も高める優良経営。
- 5. 高ROE・低PERのバリュー特性
- ROEは20%超と高水準。PERは7倍台と割安で、投資妙味が大きい。
Toll Brothersの脆弱性・リスク要因
- 1. 金利上昇による住宅需要の減退
- 高級住宅でも住宅ローン金利の上昇は購入の抑制要因に。
- 特に2022〜2024年の金利上昇局面では株価に下押し圧力も。
- 2. 景気後退による高価格帯住宅の売れ行き鈍化
- 富裕層とはいえ、リセッション下では大型購入を見送る傾向がある。
- 景気敏感セクターとしての側面もある。
- 3. 材料費・人件費の上昇リスク
- 建材価格や建設労働者の賃金上昇はコスト構造に影響。
- 利益率の低下や納期遅延などの懸念も。
- 4. 地域リスク(特にカリフォルニアの火災・災害)
- 山火事・地震など自然災害が住宅需要や建設活動に打撃を与える可能性。
- 特定地域依存度が高いと、リスク分散に課題。
総評
Toll Brothersは、高級住宅市場に特化した独自のビジネスモデルと、高い収益性を持つ優良企業です。EPS成長率・ROE・財務の健全性など、どれをとっても質の高い経営がうかがえます。
現在の株価水準(PER7倍台・PBR1.3倍・PSR0.95倍)は、指標的には割安なバリュエーションにあり、理論株価との乖離率も非常に大きい状態です。
もちろん、金利上昇や景気後退、災害リスクといった外部要因によるブレはありますが、それらを織り込んでも、**中長期で見ればToll Brothersは「買い検討に値する銘柄」**だと考えられます。
※あくまでも私個人の意見ですので買い推奨をしているわけではありません。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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